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Record Details


くるり 学(まなぶ)の 牛津録
Record #: 02

Title: 「大学と言う名の幻想」

Issued on: 2001年12月
Last modified: 2001年12月

メルマガで発行したモノを、加筆修正して、随時ここにアップしていきます。



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◎編集後記&あいさつ

 こんにちは、発行人のくるり学(まなぶ)です。今回、小説にも日記にもなってないですが、やっぱり小説みたいでしょうか? 本人は、小説+エッセイのつもりなんですけども……。何だかわけ分からない例えや冗談は、適当に無視してやって下さい。ゴレンジャーが分からない人は、ジュウレンジャーとかその手の物だと思ってください。『モー娘。』が分からない人は、おにゃン子みたいな物だと思ってください。両方分からない人は、杉並区のことを考えましょう。流石に今回は、地名等、冗談を除いて、全て実名です。冗談を除けば実名なのは当たり前だって? へえ、ごもっともで。
 ところで、読者の方から頂いたメールで、佐賀県には牛津町があるということを教えて頂きました。メール有難うございます。失礼なんですが、正直、思わず笑ってしまいました。そんな地名がまさか佐賀県にあるなんて。ある意味ありふれた漢字なので、意外と沢山あるのかも知れませんね。他にも「牛津」発見報告お待ちしてます。

 ついに先週末の十二月一日、マイケルマス・ターム(学期)が終わりました。これからもう冬休みです。と言っても、大学院生には、あまり関係無いんですが…。次号、クリスマスの話にするか、聖キャサリンの日の話にするか、迷ってたのですが、意外に反応が少なかったり、既に少し書いたりもあって、取り敢えず晩餐会の話をお送りしようと思っています。クリスマスの話も聞きたい、という場合は、本文に一言「クリスマスおくれ」と添えてメール下さい。リクエスト数に比例した文章を作るかも知れません。

と言うことで、次号は「ジョン・マッキンジーの晩餐(仮)」の予定です。どうぞお楽しみに!

 メールで質問など送って下されば、文章の中でちょこちょこ応えていこうと思ってますので、皆さんどしどしメール下さい。個別に返信できる自信は余りないです(汗)。
by Kururi
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      !!無断転載厳禁!!     
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発行者名:くるり 学 (kururi@lycos.co.uk)
マガジン名:英国留学 牛津録
発行周期:ほぼ隔週刊(不定期って申請したのに[泣])
発行人サイト:http://members.tripod.co.uk/kururi/
(C)M.Kururi, 2001. All rights reserved.
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
発行しています。http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000080277)





SIDENOTES

 ※1…英語で、University of Oxford。Oxford University でも通じるが、正式には間違いらしい。


 ※2…『コスモポリタン』とは『世界市民』のこと。


 ※3…もっと知りたい人は、オックスフォードに来た時、ブロード・ストリートにある、オックスフォード・ストーリーというアトラクションを楽しんでみてね。


 ※4…ご存じ『モーニング娘。』の略。


 ※5…カレッジ以外にも、○○ホールというカレッジに準ずる組織がある。 





Body

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■DOMI|MINA■  くるり学 の                ■■■■
■ NVS|TIO ■          牛津録           ■■■■
■ILLV|MEA ■        oxford  record         ■■■■
■ |VVV| ■                第二録     ■■■■
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●第二録「大学と言う名の幻想」

  いつからだろう、僕がここにいるのは。時折、そんな他愛もないことを
 考えてしまう。ずっとここに埋もれているような錯覚……。
  僕はいつのまにか、いろんなことに慣れてしまった気がする。例えば、
 この大学と、イギリスと言う名の巨大な幻想に。全てが分離されて、全て
 が甘い幻想に包まれているこの国に。

    **  **

  グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国。イギリスの正式名
 称だ。英語で書くと、United Kingdom of なんとかかんとか、略してUK。
 そう、王国(キングダム)なんだよね。今更だけどもびっくりしてしまう。
 よく使われる漢字は『英国』で、カタカナで書くと『イギリス』。どちら
 も本当ならイングランドのことだけを指すべきなのに、何をトチ狂ったか、
 僕らは何も考えずこの言葉を使う。これについて書き始めると長くなるの
 で、他の機会に譲る。話を進めよう。

  この大学の名は、オックスフォード大学(※1)と言う。
  学生数が約一六,〇〇〇人で、その内、大学院生(学部生以外)が約五
 〇〇〇人だそうだ。年々、大学院生の割合は増加傾向にあるのだとか。カ
 レッジの数は、大小さまざま、四十近く有り、大学が所有する図書館と博
 物館もかなりな年代ものばかり。収入は、一九九九年――二〇〇〇年期で
 一億三千万ポンド(約二二〇億円)らしい。あらー、凄いなぁ。こんなお
 金どこに行ってるんだろう。大学院や研究施設の三分の一は、何らかの形
 で、100ヶ国にも上る国々との共同設立らしい。約五〇〇〇人の大学院
 生の内、ほとんど正確に半数の人が、留学生として来ている。勿論、10
 0ヶ国以上から。だから、日本人だからと言って、取り立てて特別にはな
 らない。みんな平等に扱われる。当たり前だけど……。 


  僕が日本で自己紹介をする時、いつも決まって訊かれる質問に、
 「ねぇ、オックスフォードって、国立? 私立?」
 「ねぇ、オックスフォードって、イギリスの隣り? ロンドンの近く?」
 「ねぇ、オックスフォードって、ぼよよん?」というのがある。
  二つ目の質問には、
 「結構ね」と答えて、三つ目の質問には、ちょっとだけハニカミながら
 「うん、……ぼよよん」と応えることにしているんだけど、一つ目の質問
 が、なかなか結構こむずかしい。 

  オックスフォード大学が、歴史に現れたのは、今から八百年も前のこと。
 時の宰相、アレキサンドロ・ニコルスは、ローマに居る教皇の圧力をかわ
 すため、切に右腕となる知識階級を欲していた。内縁の妻であるカトリー
 ナの豊満な胸に顔を埋めながら、
 「神のしもべの中に、朕のしもべとなる者はおらぬのか?」と、嘆いたと
 いう。これが後世有名な『ぼよよんの嘆き』である。日本では、丁度、北
 条時宗がお公家さん達とヤンヤやんやしていた頃の話。 

  冗談はここまでにしといて、話を先に進める。 

  大学の母体となる集団は、八百年以上も昔、自治集団、もしくはギルド
 (職業的集団)としてスタートした。くるくる変わる生徒の数も何のその、
 せっせと先生は講義を重ね、集団はみるみる内に大きくなっていった。広
 く学生を迎え入れていたので、当然、国際的な評価もうなぎのぼり。当時
 のその集団は、すこぶるコスモポリタン的性格が強かったからもあるらし
 い。『コスモポリタン』ワカラナイって人は、倫理か世界史の「古代ギリ
 シア哲学」あたりをぱらぱら見てみよう。あの例の、土管か何かに入って
 寝てると、アレキサンダー大王がやってきて、
 「お前、何してるんだ?」
 「寝てるのだ」
 「寝てるのだとは何なのだ。俺がわざわざ来てるのだから、早く起きて、
 国の話しろ」
 「そんなこと言われてもこまるのだ。わし、国の話きらいなのだ」
 「きらいとは、どうことだ!」ここで大王、発砲。
 「ああ! ダメだ、ダメだ。今の場所、動いちゃダメなのだ」
 「え? ここか?」
 「そう、そこ。太陽、隠しちゃダメなのだ。日光浴は凄く気持ちいいの
 だ」
 そんなバカボンのパパみたいな人の哲学。不安になった人は、教科書をご
 覧下さい。(※2) 

  最初期の頃は、近くの農家の人や、知り合いの理解ある土地持ちさん達
 が、家や場所を分け与えて、そこで、寝泊りしながら、キリスト教につい
 ての講義や議論などをしていたらしい。それからほどなく、彼らを支援す
 るパトロン達が現れて来て、その支援の出所をもとに、まとまった集団が
 形成され始める。カレッジの歴史が幕を開けたわけだ。十三世紀、三つし
 かなかったカレッジの数も、またたく間に増えて、十七世紀には二十、三
 十へとその数を増やし、現在、四十近く。正直、覚えきれない。紹介はま
 た後ほど……。(※3)
  この成立過程から分かるように、寮のような、大学のようなカレッジと
 いう存在は、実は大学とは全く異なる。杉並区と東京都が違うようなもの
 だ。アカレンジャーとゴレンジャーが違うと言えばいいのか、安倍なつみ
 と『モー娘。(※4)』が違うと言えばいいのか……。とにかくだから、
 そもそも「大学って何?」と訊かれると、カレッジとか(※5)と学部
 (研究所)の集合体としか答えようがなくて、一つの大学でしょ、と聞か
 れても、肯くしかない。肯いたら肯いたで、じゃみんな一緒じゃん、とい
 う訳には行かなくて、全部ばらばらなのだ。そうなのだ。ばらばら。だか
 ら、「私立? 国立?」の問いには、正確に言うと「どっちでもない」で、
 もっと正確に言うと「学者、学術機関の集合体」と言わなきゃいけなくて、
 もっともっと正確に言うと、「いや、実は、昔々おじいさんがね……」と
 今回のように延々と続く。だから、
 「ねぇ、オックスフォードって、私立? 国立?」と訊かれると、歴史を
 紐解いていちいち説明するのも面倒なので、
 「真中あたり」と当り障りなさそうな答を用意しておくことにしてる。
 「どっちでもない」なんて言ったら、また話がややこしくなるし、
 まさか
 「モー娘。みたいなもの」なんて言えるわけない。 

  そんなこと言ったら、
 「勉強のやりすぎで頭おかしくなってんじゃない?」と思われかねない。
 ちょっと変、と、勉強のやりすぎは関係ない。そもそもこんな現実逃避ば
 っかしてるから、最近本気でやばいんだってば!


  話が脱線してきたので、そろそろシメに行かせて頂きやしょう。
  ごくたまに、こんなふざけた質問も頂きやす。
 「ねぇ、オックスフォードって、偉いの?」
 そういう時には、耳のそばまで口を近づけ、優しく答えてあげるんです。
 「あのね、オックスフォードってのはね、土地の名前なの。だから偉いも
 何もないんだよ。因みにお兄さんは、東京って名前は嫌いだ」と。 

  漢字で書いたら、『牛津』です。


 (了)

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